Machi Museum

Machi
Museum

子供の感性を拡げる美術館

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(1) 誰のための美術館か −感性・アートへの参加・コミュニケーション力−

子どもや障がい児・者は、社会的に弱い立場にあります。
また、経済行為が難しい状況にもあります。しかし、感じる心や興味・関心があれば誰でも、文化への視野を広げ、アートに参加できてよいのではないでしょうか。またそれを応援する美術館が必要なのではないでしょうか。
例えば、子どもAさんから、「絵を描いたから、展示して欲しい」と依頼を受けたら、ウエルカムの気持ちで、「はい」と返事し、展示する美術館でありたいと念願しました。そして、作品の技能の高さの単なるひけらかしではなく、アートの表現がひとつのきっかけとなって、家族や友だち、異年齢の人たち、地域の方々などとのコミュニケーションがスタートすることが大切であると考えました。「見たよ!」から始まる交流を期待するのです。あらゆる人の個は大切ですが、無理な孤立や孤独から脱却する機会は必要だと考えます。
また、アートは、あらゆる人に形や色の感じ方の機会を与えてくれます。赤や緑が好き、白や黒が好きなど、アートの視点は、心に感性のスイッチを入れてくれます。この感性の生活は、ファッションや建築など沢山の分野があります。身近なところでは、お箸やスプーン、ハンカチやタオルなどにも形や色の世界があります。生活の中で感性がわき起こることを大切にしたいと思います。子育てしている方々が気楽に遊びに来れ、みんなが楽しめる美術館でありたいと考えています。まち美術館は、子どもが大切!子育ての応援だんになりたいと考えています。

(2) 京町家を子どもの文化教育に活用

具体的には、京都市から京町家の指定を受けている家屋を改修し、世界一小さな美術館かもしれませんが、子どもや障がい児・者、地域の方々の感性が豊かになり、心が成長する教育美術館をつくることにしました。
少し絞って、あらゆる子どもに対応するという基本方針を立て、子どもに関わる経済的な問題から少しでも脱却するためには、古い建築物の有効活用に着眼すべきではないかと考えました。この私設の美術館は、立場の弱い人の表現文化を京町家で支えていこうとします。もし、古い建物の利用という精神で京都の他の地域や、全国にまち美術館が増えれば、そこの地域の子どもや障がい者は、リアルに支援や応援を受けることができるようになるでしょう。
今一歩すすめて夢を述べれば、例えば言葉の生活や、数理的な生活、社会的なものの見方や科学的なものの見方など、大学の多い京都で、退職研究者や在職研究者も多いはずです。もし、それぞれのアカデミックアプローチの京町家利用がすすめば、子どもは、いつでも興味のある専門分野を自由に学んでいくことができるのです。集中特化の大学・大学院と、分散拡大する個々の教育が偏在する力強い文化の街。京都は、個々の専門家が開設するミニミニ大学群の文化の街となるのです。

(3) アートのコミュニケーション機能を中核に

2021年に組織名称「アートコミュニケーション京都」を立ち上げ、アートをコミュニケーションの中核に据えることとしました。その理念を実現するものとして改修工事をすすめ、2023年2月に名称を「まち美術館」と決定し、4月に教育美術館としてスタートしました。

2.開かれた展示方法と独自な附属施設「リトルファーム」

(1) 24時間のショーウィンドー型の展示

展示方法ですが第一に、地域の人達と子どもや障がい児・者の美術表現を結びつけるためにショーウィンドー型の展示システムとしました。ショーウィンドーは、誰もが24時間無料で鑑賞することができます。子どもと障がい児・者は、展示も無料です。
子どものアートの展示としては、福知山市佐藤太清記念美術館小さな絵画展選抜展を実施することができました。また、京都の文化的な特色だけでなく、各地に驚くほどの素晴らしい文化があることを子どもに知ってもらおうと、現地の取材を踏まえて独創的な文化を紹介する企画展を行いました(愛媛県、滋賀県、岐阜県など)。今後、全国の個性的文化をご紹介する窓口になれればと考えています。

(2) おもや展示室・くら展示室での企画・常設展示

2024年から耐震改修工事をすすめ、2025年10月におもや展示室をオープンします。
企画展示を種々実施していきます。

(3) リトルファーム

また、リトルファームという自然体験の施設(農地)を美術館の附属施設として設けました。一般の農業は、農産物の生産量第一主義をとる工場的な存在です。本美術館のリトルファームでは、大きな空間での風の動きや光の変化、土や水や空気を感じることができる場としようとしました。例えば、子どもに、ふかふか(団粒構造)の土を感じさせる体験の場なのです。さらには、植物も育とう(伸びよう)としており、そこに虫も存在するオーガニックファームなのです。レイチェル・カーソンは、自然と向き合う時、「センス・オブ・ワンダー(神聖さや不思議さに目を見張る感性)」の心が働くことを大切にしました。大人になるにしたがってこの能力を失ってしまう傾向にあると捉えました。美術作品を傍観者のように見るだけではなく、空間へのアクションや空間からの応答を感じられる場づくりを美術館の機能として考案しました。
この教育美術館の創設というアプローチは学校教育現場を応援し、子どもに地域や世界と豊かに交流できる場をつくっていく試みです。作品や文化財の展示施設と自然体験施設を包括した教育美術館を創設し、実践を大切にします。是非、お越しいただければと存じます。

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